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X線検査装置とは

X線検査装置は、非破壊検査において対象物の内部構造を視覚化するための重要なツールです。この記事では、X線が発生する仕組みや撮像方法、焦点サイズによるボケの影響、さらにX線が人体に与える影響等について解説しています。X線検査装置を使った効果的な検査を実現するための基礎知識です。
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X線とは?

X線は、電磁波の一種であり、通常の可視光線よりも波長が短く、エネルギーが高い特性を持っています。これらの特性により、X線は物質中を透過し、影を投影することができます。そのため、医療や工業などで広く利用されており、X線検査装置では、体内の異常や物体の内部構造を非侵襲的に可視化するのに用いられます。

X線が出る仕組み

X線検査装置は、X線管という部品を使ってX線を発生させます。X線管は、真空に保たれたガラス管内に陰極と陽極を配置し、電流を流して高電圧をかける仕組みです。陰極から放出された電子が高電圧によって加速され、陽極に衝突します。この衝突によって、電子のエネルギーがX線という形で放出されます。陽極には通常、タングステンなどの高融点金属が使われ、その表面から発生したX線は管外に出て、検査対象物に照射されます。対象物を通過したX線の強弱を検出することで、その内部構造や欠陥を画像化することが可能です。この仕組みにより、非破壊検査で精密な内部観察が行えます

X線での撮像方法

X線管から発生したX線が検査対象物に向けて照射されます。X線は対象物を透過し、その際に物質の密度や厚みに応じて減衰します。透過したX線は、対象物の背後に配置された検出器に到達します。検出器は通常、X線フィルムやデジタルセンサーを使用しており、受け取ったX線の強弱を基に画像を生成します。高密度部分はX線を多く吸収し、画像上で暗く表示され、低密度部分はX線を通しやすく、明るく表示されます。このコントラストにより、内部の異常や欠陥を明確に視覚化できます。こうしたX線撮像法により、構造物や機械部品の効果的な品質管理や安全確認が実現します。

反射型と透過型の違いと特徴

X線管には、反射型と透過型の2種類があります。それぞれ異なる方法でX線を発生し、異なる特徴を持っています。

反射型は、斜めに設置されたターゲットに電子を衝突させてX線を発生する方法です。この方式は高出力が可能となりますが、焦点サイズが大きく、出力を上げるほど焦点も大きくなります。高出力で電子をあてれる為、画像が明るく撮像時間を短くすることができます。

透過型は、薄いターゲットに電子を衝突させてX線を発生対象物に照射し、その対象物を通過したX線を反対側で検出する方法です。この方式は焦点サイズを小さくすることが可能となりますが、出力に制限があります。焦点サイズを小さく保てる為、ボケの少ない画像を取得することができます。

反射型と透過型の違いを理解することで、検査対象物や目的に応じた適切なX線検査装置を選択し、より効果的な非破壊検査が可能となります。

ミリフォーカスとマイクロフォーカスの違い

ミリフォーカスとマイクロフォーカスは、X線発生装置において異なる焦点サイズのX線管を指します。焦点サイズとは、X線が発生する箇所の大きさを意味し、この違いが画像の鮮明度や検出能力に影響を与えます。

ミリフォーカスは、焦点サイズが1ミリメートル程度のX線管を使用します。このタイプは管電圧・管電流を大きくしやすく透過力が上がりイニシャルコストを下げることができますが、解像度はマイクロフォーカスに比べて低いです。

一方、マイクロフォーカスは焦点サイズが10μメートル以下のX線管を使用し、拡大しても非常に鮮明な画像での検査が可能です。微細な欠陥や構造を詳細に観察できるため、電子部品や小型精密部品の検査に適しています。ただし、検査範囲が狭く、処理時間が長くなることもあります。

これらの特徴を理解することで、検査対象や目的に応じた適切なX線検査装置を選択することが可能です。

焦点サイズとボケの関係

X線検査装置における焦点サイズとボケの関係は、画像の解像度と鮮明さに直接影響を与えます。焦点サイズが大きいミリフォーカスX線管では、X線が発生する範囲が広いため、検査対象物のエッジがぼやけやすくなります。これをボケと呼び、画像の解像度を低下させる要因となります。

対照的に、マイクロフォーカスX線管では焦点サイズが非常に小さいため、X線が発生する範囲も狭くなります。これにより、検査対象物のエッジがより鮮明に映し出され、ボケが少なくなります。その結果、非常に高い解像度の画像が得られ、微細な欠陥や細部の構造を正確に検出できます。

焦点サイズとボケの関係を理解することで、検査対象物の特性に応じた最適なX線検査装置を選択することができます。

X線の撮影例

密閉型ミリフォーカス発生器+X線I.I.

密閉型発生器(100μm焦点)と4インチI.I.のシステムによるフライバックトランス撮影例
幾何学拡大は3~5倍程度が限界(分解能:30~50μm程度)

密閉型発生器(600μm焦点)とX線CCDカメラのシステムによるスイッチ内部接点撮影例
幾何学拡大は基本的に不可能
分解能はX線CCDカメラの性能に依存する(25~40μm程度)

密閉型マイクロフォーカス発生器+X線I.I.


低倍率から高倍率へと拡大・縮小が可能
広い視野から不具合箇所を見つけて拡大観察できるのが特徴
一般的な幾何学拡大率は50~60倍程度
分解能は5~10μm程度

解放型マイクロフォーカス発生器+X線I.I.


密閉型マイクロフォーカスよりも更なる拡大が可能
超微細欠陥の確認などに最適
一般的な幾何学拡大率は1,000倍程度
分解能は2~5μm程度

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